【毒親とAC】湊かなえ「豆の上で眠る」のあらすじ、感想

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こんにちは!りこです!

湊かなえさんの小説『豆の上で眠る』を読んだあらすじ、感想をお伝えします!

あらすじ

結衣子には姉の万佑子がいる。結衣子は、頭が良くて可愛くて優しい姉のことが大好きだった。姉は本が好きで、アンデルセン童話「エンドウ豆の上に寝たお姫様」の真似をして、布団の下にビー玉を置いて、二人で遊んだ。

ある日、姉の万佑子が失踪した。誘拐なのか、事故なのか、犯罪に巻き込まれたのか、何も分からないまま、両親は祖父母や近所の人たちと協力して、姉の行方を探す。

結衣子は姉がいなくなったのは自分のせいだと罪の意識に苦しみながら、母に言われるがまま姉の行方を探す手伝いをする。

そして、2年後。とうとう姉が見つかり、事件は解決する。両親や祖父母は喜び、また幸せが戻ったかのように思えた。しかし、結衣子には、帰ってきた少女がどうしても本物の姉だとは思えなかった。結衣子の感じた違和感の正体はなんなのか。帰ってきた少女は、本当に万佑子なのか。

そして、時は過ぎ、結衣子は大学生になる。実家に帰る道中、姉が友人と一緒にいるところを目撃する。その人物に、結衣子は見覚えがあった。

『豆の上で眠る』を読んだ感想【ネタバレ含む】

あらすじ自体は面白く、結末が気になって思わず一気に読んでしまいました。中盤くらいが一番面白く、読んでいる最中を楽しめる小説でした。

湊かなえさんの小説特有の不穏な空気は常に漂っていますが、内容はそこまで絶望的ではなくマイルドな方なので、ネガティブな話が苦手な方も読みやすい内容です。

特に、姉が失踪するまでの不穏な空気感、姉が失踪した後の周囲が狂っていく感じが本当にドキドキさせられます。

そして、主人公の感情がとても丁寧に書かれていて、とても切なくなりました。

毒親とアダルトチルドレン

湊かなえさんの作品には狂った母親が出てくる作品が多くありますが、こちらの作品にでてくるお母さんも、最初はまともな人かと思ったら全然違いました。

相変わらず狂ってる。ちゃんと読み返せば、最初からちょっと変なんです。主人公も悩むくらい、姉をえこひいきして可愛がったり、ブランドものの服ばかり買って、世間体をものすごく気にしたり。

それでも、最初は良いお母さんなんです。しかし、姉が失踪してから毒親っぷりが顕著に表れ始めます。

まず、猫を買ってきます。その猫が逃げたと言い、「○○さん宅にいるかも。結衣子が見てきて」と娘を使いに出します。訪れた部屋の人たちは、子ども相手ならと、大体家の中を探させてくれます。

しかし、そのお宅というのは、犯人だと疑っている人物の家です。猫は浴槽に閉じ込めたり、脱走させたりして、すでに十分ひどいのですが、いくら失踪した子どもを探すためとはいえ、愛する娘を犯人らしき人物の家に一人で出向かせるのは、気が狂っています。

案の定、主人公はロリコンと思われる男性の被害に遭ってしまい、一生の心の傷として内に秘めることになります。

主人公はまさに毒親に育てられた子どもって感じの思考で、可愛そうなくらい我慢を強いられてきました。それでも、自分のせいだ、自分が悪いという罪悪感をいつも感じていて、母のせいでいじめられたり無視されたりしても、母に逆らったり、人に母のことを悪く言うことは絶対にありませんでした。

この物語には、アダルトチルドレンのヒーロータイプのなっちゃん、エネイブラータイプの真犯人など、他にもいろんなタイプのアダルトチルドレンが出てきます。

みんな善悪の2面性を持っている

湊かなえさんは、良い人でも悪い人でもない人物の描き方が上手だと思いました。

結衣子の母も何もなければ普通に良いお母さんだと思うけれど、愛する娘が行方不明になってから、猫や娘を道具として使ったり、自分のせいで学校でいじめられたり無視されたりしている娘のことには終始無関心でした。

犯人だって、犯罪を働き、周りに大迷惑をかけたが、すべては姉を思っての行動で、万佑子の意志を尊重して傷つけるようなことは決してしなかった。(しかし、なぜ2年間も連絡しなかった)

あれだけ傷つき苦しんでいた主人公も、結局姉を傷つけてしまっていたし。そして、おばあちゃんもいい人だったけど、万佑子が別人だと気づいていたなら、主人公にも伝えるよう言ってくれたらよかった。

そして、特別闇が深いのが、小学生にもかかわらずお茶の水大学を目指していたなっちゃん。お茶の水大学が何かもよくわからないまま、親に言われるがままだったのでしょう。彼女も、他人の期待に応えたい、褒められたいという欲求のもと、あんなことをしていまったのでしょうか。とはいえ、人の生死に関わる事件に関する嘘は、許されることではありません。

悪気はなくても、知らぬうちに人の心に傷を負わせてしまっていることがあるのだと思い、自分自身も気を付けないとと思いました。

しかし、他人なのに手伝ってくれておにぎりを差し入れしてくれた隣人の池上さんと、唯一孤独な主人公に寄り添ってくれた冬美おばさん。良い人たちでした。

残念だった点【ネタバレ】

種明かしとしては、「姉を守ることが使命」だと言い聞かされて育った誘拐犯の女が、自分の姉の子どもと万佑子を赤ん坊の頃にすり替えたというのが真実でした。

結衣子が姉だと信じていた相手は、遙という名前で、血のつながりはありませんでした。そして、違和感を抱き続けてきた少女こそ、本物の血のつながった姉だったのです。

真相としては、体の弱い姉が生んだ子どもは同じく体が弱く、女は元気な赤ちゃんを与えたいと考えました。その女は助産師をしていたため、すり替えるのは容易でした。

しかし、数年後に偶然すり替えた姉の子どもに出会ってしまい、真実を打ち明けると、万佑子は本物の母のもとで暮らすことを選ぶのです。

各地を転々とし2年経った頃、万佑子の両親に真実を打ち明け、両親と血がつながった本物の万佑子が家族として迎えいれられ、記憶喪失ということにして真実を隠します。

事の真相を知っているのは、両親と万佑子と遙だけで、結衣子にはこのことは知らされていませんでした。

ストーリー自体は読むのを辞められないほど面白かったのですが、突っ込みどころや個人的に残念だと感じた点がいくつかありました。

なぜ2年間も連絡しなかった?なぜ結衣子には秘密?

警察も動き、テレビに顔写真が映って、盛大に捜索されていたのに、万佑子や誘拐犯が知らないわけはないでしょう。誘拐犯の姉も、親の気持ちが分かる普通の人であれば、まずは万佑子の居場所を伝えちゃんと真実を話すべきでしょう。そして、両親、万佑子、遙もちゃんと主人公に真実を伝えていれば、主人公もここまで辛い思いをすることはなかったのに、と思ってしまいます。

それ以前に、遙は自分を育ててくれたお母さんに会いたくなかったのでしょうか。血のつながりはないものの、姉妹として過ごした結衣子のことは大事ではなかったのでしょうか。万佑子と遙目線の真実が作中ではほとんど書かれていなかったため、(本物の万佑子は本音を少し話していましたが)結衣子と幼少期を過ごした、遙の本音が知りたかったです。

終盤に一気に詰め込んだ感

中盤までが面白すぎたためか、最後は「ここでおわり?」とあっさりしたものでした。

最後になって、取って付けたかのようなエピソードが出てきたり、新しい登場人物が増えたりして、伏線は回収されましたが、あまりすっきりしなかったです。こじつけ感というか、聞いたことあるような設定が説明口調で明かされていくところが気になりました。せめて、序盤中盤あたりで真犯人を登場させてほしかったです。

主人公のその後が気になる

最期は、「本物って何?」と主人公が問いかけて終了します。

姉の事件がきっかけで傷を負い、人と関わるのを避けてきた主人公が、どうやって人生を取り戻していくかがとても気になりました。

「豆の上で眠る」というテーマに沿わないため、えがかれなかったのでしょうか。それとも、「本物とは?」というテーマを読者に問いかけ、もやっとした読後感をあえて狙っているのでしょうか。

個人的な意見ですが、主人公の葛藤の結末もえがいてほしかった。小説を読んだ後は確かに考えさせられますが、「主人公が可哀そう…」という感想が勝ってしまいます。

もうひとつの謎

表紙の2つの飴は、いったい何だった?

ダイヤモンドとサファイアの指輪をひとつずつもらう約束を母親としていた場面からでしょうか。それとも、本物の姉と血のつながりのない姉、2人いるよということを暗示していたのでしょうか…。謎です。

まとめ

もやっと感は残りますが、そこも含めて、考えさせられる作品だったように思います。どうなっていくんだろう…とドキドキさせられるストーリー展開は、さすが湊かなえさん!といった感想です。

兄弟姉妹、親子、家族もののミステリー小説が好きな方は、ぜひ読んでみてください!

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