【イヤミス】映画「キャラクター」あらすじ、感想、考察【ネタバレ含む】

二面性 ログ

先日、NETFLIXで菅田将暉さん主演の映画「キャラクター」を視聴しました。「キャラクター」のあらすじと感想、考察をご紹介します。

※ネタバレを含むため、未視聴の方はご注意ください!

映画「キャラクター」のキャストは誰?

主人公の山城圭吾役は菅田将暉さんです。山城を支える恋人の夏美役には、高畑充希さん。犯人を追う刑事役には小栗旬さん、中村獅童さんが出演しています。また、人気バンドSEKAI NO OWARIのボーカルであるFukaseさんが両角役で出演しています。

映画「キャラクター」の作中で漫画を描いてるマンガ家は誰?

映画の中に出てくるデッサンやマンガのコマを描いているのは、江野スミさんという女性の漫画家です。緻密で耽美的な美しい作画が魅力の漫画家さんです。

江野スミさんの代表作には、「亜獣譚」「美少年ネス」「たびしカワラん!!」といった作品があります。ベテランマンガ家のような洗練された画風と高い画力をお持ちですが、年齢は32歳とまだ若いため、今後の活躍が楽しみなマンガ家さんです。

映画「キャラクター」のあらすじ

売れない漫画家・山城圭吾はミステリー・サスペンス漫画で連載を持つことを夢見ており、漫画家のアシスタントとして生計を立てていた。画力や実力に優れる山城は新人賞などを取ったことはあるものの、なかなか連載につなげることができなかった。山城を雇う漫画家は、彼の漫画がヒットしない理由について「魅力的な悪役を書くことができないから」だと分析する。そして、「彼がいい人だから、自分の中にないものを書けない」と語る。

恋人が妊娠していることが分かり、山城は漫画家を諦めようとしていた。そんななか、「誰が見ても幸せそうな一軒家のスケッチをして来てほしい」という雇い主の漫画家の要望に応え、夜の住宅地へとスケッチをしに行く山城。そこで、残虐な殺人現場に遭遇し、逃げる犯人の姿をハッキリと目撃する。

警察の事情聴取を受けた際、山城は犯人を目撃していないと嘘をつき、真犯人の姿について証言することはなかった。その後、過去に殺人事件を起こしたことのある辺見という人物が罪を認めて逮捕され、事件は収束したかのように思われた。

山城は目撃した犯人をモデルに、悪役「ダガー」というキャラクターを作り出し、目撃した事件を参考にしたストーリーを描くことにした。その結果、彼の漫画は大ヒットする。山城は、妻となった夏実と共にセキュリティが万全なマンションに引っ越し、ひたすら漫画を描き続けた。

仕事も私生活も順調だったが、ある日、彼の描いたストーリーと酷似した事件が起こる。それに気づいた警察が山城に協力を求めるが、それでも山城は真実を話そうとしなかった。ちょうどその頃、彼の前に「両角」と名乗る男が姿を現す。その人物は、かつて山城が事件現場で目撃した犯人だった。

映画「キャラクター」を観た感想【ネタバレ】

ストーリーは面白い?面白くない?

ツッコミどころは結構多いものの、ストーリーは全体的にまとまりがあってテンポも良く、最後はちゃんとオチがあって面白かったです。なんとなく見始めて、最後まで目を離せないほどストーリーに引き込まれました。全体を通して難解すぎず、重すぎず、比較的気軽に見れる映画だとも思いました。

「漫画の内容が現実になる」というのはありそうでなかった新鮮な展開で、インパクトがあって惹きつけられます。最後は「どういう意味だったんだろう?」という謎を残して終わりますが、その分想像力を搔き立てられる終わり方でもありました。オチは人によって好き嫌いが分かれるかとは思いますが、個人的には満足感のある終わり方だったと思います。いわゆるイヤミス(後味が悪く、イヤな気持ちになるミステリー)作品だと思うので、イヤミス好きの方には特にオススメしたいです。

犯人が早々に明らかになるため、ジャンルはミステリーというよりはサスペンス寄りだと思います。ミステリー要素は少ないため伏線回収のスッキリ感は少し物足りないのですが、「キャラクター」というテーマ通り、「人間の心理」にかなり重点をおいて描かれています。よって、人間の心について興味がある方やサイコスリラーが好きな人にもオススメしたいです。

凄惨ながらも美しい映像

ストーリーだけでなく、映像にもこだわりを感じました。全体的に映像の色彩が美しいです。暗闇の中に浮かび上がる夜の街のエモさや鮮やかな自然の緑がとても美しく演出されているため、映像作品としても楽しめました。

全体を通して「赤」と「緑」が強調されているように思いました。殺害現場はめちゃくちゃ鮮やかな血の海です。犯人の部屋もなぜかめちゃくちゃ赤い一方、犯人のジャージが緑なのはすごく不気味です。(なんで緑?)

こちらの映画、殺人現場の映像がなかなかグロイのですが、人を殺害しているシーンがはっきりとは描かれていないため、グロ耐性がそこまで高くない方でもまだ耐えられるグロさではないかな…と思います。逆に、普段からそういう映画を見慣れている人にとっては、少し物足りないと思います。

犯人が気持ち悪い

犯人の両角を演じるのは、SEKAI NO OWARIのFukaseさんです!

深瀬さんは、どこからどう見てもいい人にしか見えない優しそうな顔立ちと、穏やかでフワフワした可愛い雰囲気を持っている方です。最初知らずに鑑賞していて、「なんか見たことあるな…」と思いながらもしばらくご本人だと気付きませんでした。顔がしっかり見えたと思ったら、まさかの深瀬さんでビックリしました。

それくらい、表情がガチのヤバイ人で、狂気の滲む犯人役がかなりぴったり馴染んでいました。彼の登場シーンは毎回めちゃくちゃ気持ち悪いし不気味でした。(褒めてる)

深瀬さんはこちらの映画が初の出演作とのこと。初出演作だと分からないほどに役に入りこんでいて、本当に多才な方だと思いました。

映画「キャラクター」の考察

映画「キャラクター」を視聴後、改めて考察してみると、めちゃくちゃ恐ろしい映画だったことに気づきました。考察していて気になったポイントをまとめてみました。

主人公の山城はなぜ嘘をついたのか?

良い人である山城が、なぜ最後まで真実を話そうとしないのか疑問に思いました。彼が警察の取り調べで嘘をついたせいで犯人は野放し状態となり、どんどん人が死んでいきます。そして、無実の人が冤罪で捕まります。そのくせ自分は、ちゃっかりセキュリティがバチバチの高級マンションに引っ越しています。

結局、主人公は自分がついた嘘のせいで、妻とお腹の子どもを危険にさらします。最後の方になってようやく自分自身の行動を後悔し、家族を守ろうと必死になります。何がしたいのか分からない山城にイライラしてしまいましたが、改めて考えてみると彼の行動の意味が少し分かった気がします。

山城をアシスタントとして雇った漫画家の言葉がヒントとなります。その漫画家は彼の漫画がヒットしない致命的な理由として、「悪役が描けない」「山城はいい人だから、自分の中にないものを描けない」と語ります。

彼は強烈なインスピレーションとなる本物の「悪」に触れたことで影響され、「悪性」が目覚めます。そして、彼自身も「嘘をつく」という悪事を働きます。それは、彼が「いい人」と引き換えに「漫画家として必要な能力」を得た瞬間だっだと思います。しかし、山城は自身の「夢」と引き換えに、自分自身や大事なものを失っていくきっかけを作ってしまいました。

最後の犯人のセリフ「僕は誰?」の意味

最後、両角が警察に捕まり裁かれようとする裁判所のシーンで、なぜ自分がここにいるのか分からないといった様子で「僕は、誰?」とつぶやきます。その瞬間、病院のベッドで山城が目を覚まします。

「僕は誰」というセリフは、映画のタイトルがなぜ「キャラクター」なのか?という謎を明らかにするセリフだと思います。

辺見に憧れていた両角、両角に影響を受けた山城、両角に憧れられていたがいつの間にか立場が逆転した辺見。この3人の間で、「キャラクターの伝達」が起こっていたのではないかと思います。

カギになるのは、両角の「自分はもともと辺見のファンだった」という発言です。両角が辺見に宛てたファンレターまで見つかっています。家族とは離れ離れとなり、戸籍がないため社会では居場所がなく、自分が何者なのか分からないという感覚を抱いていた両角は、憧れの人物である辺見から「悪」というキャラクターを受け継ぐことで自分自身を保っていたのだと思います。一方、キャラクターを奪われた辺見は一時は廃人のようになっていましたが、両角の手足となり身代わりにもなるという役割を与えられます。

山城自身も犯人の両角に対し、無意識に「憧れ」を抱いていたのだと思います。だからこそ、山城は嘘をついて両角をかばい、両角が何度接触してきても通報せず、身内に危険が迫ってからやっと動きます。そして、両角がモデルであるダガーをめちゃくちゃ魅力的な人物として描きます。山城はいつの間にか両角の「ファン」になり、徐々に彼のキャラクターを自分自身に取り入れていきます。

最後、主人公と犯人が取っ組み合いになるシーンでは、二人の立場が逆転したかのように描かれており、犯人の「キャラクター」が主人公に移ったことが示唆されています。

「キャラクター」は、超バッドエンド?

前述のした通り、「いい人」だった主人公は両角から「悪人」というキャラクターを受け継いでいると思われます。きっと主人公は、もう今までのような「いい人」ではありません。

ラストシーンでは犯人が捕まり、一見平和が戻ったかのように思えますが、妻と双子の子どもを狙っている存在がいるかのような不穏な描き方がされています。逃亡中の辺見が、両角の代わりに彼らを狙っている可能性が高いですが、もしかしたら主人公の家族を手にかけるのは辺見ではなく、主人公自身なのかもしれません…。(最後、2回刃物の音がしたことにより、彼女たちの身に何かが起こったのは確実だと思います)

ただ、亡くなった刑事・清田の似顔絵が病室のテーブルに置かれていたことが引っ掛かります。主人公が清田への感謝を気持ちを抱いて描いたのだとしたら、まだ善人の心が残っているとも見て取れます。もしかしたら、山城は今後、自分の中にある善人と悪人の二面性に苦しむことになるかもしれません。

どちらにせよ、不穏な未来が待ち受けているとしか思えません。なんと後味の悪い映画でしょうか。(そこが良い!)

気になった点

ストーリーは面白かったのですが、気になる点やツッコミどころも結構ありました。さすがに警察が無能すぎないか?とか、主人公の行動の一貫性の無さはさすがに無理がないか?とか、いろいろありますが、個人的に特に気になったのは、それぞれの登場人物の人物像がよく分からなかったという点です。

これは登場人物の行動の動機につながってくるのと思うのですが、少し視聴者の想像に委ねすぎているのではないかなと思いました。辺見に至っては、前科を犯したこと以外何一つ分からなかったです。

だからこそ、登場人物の魅力はあまり感じられなかったです。ストーリーの面白さを追求したいという構成上仕方ないとは思いましたが、せっかく大物俳優ばかり起用しているのに「俳優さんの無駄使いではないかな?」って感じはしました。

セカオワの深瀬さんの演技が良かっただけに、ほかの役者さんの演技は少し物足りなく感じてしまいました。良く言うと、いつも通り安心して見れる。悪く言うと、なんか無難な感じ。みんな淡々としていてあまり葛藤や緊迫感が感じられず、逆に不気味でした。(あえて?)恋人の夏実役もせっかく高畑充希なのに、人物像がイマイチつかめず、「だれでもよかったんじゃない?」って感じがしました。

描く必要ないからとあえて削ったのかもしれませんが、それぞれのキャラクターの個性や魅力がもう少し伝わる作品なら、さらに楽しめたのではないかなと思います。

まとめ

ネットフリックスで視聴した映画「キャラクター」のあらすじ、感想、考察をご紹介しました!イヤミス好きとしては、後味を含めて楽しめる作品でした。まだ観ていない方は、ぜひ視聴してみてください!

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